「血圧が高い」と診断され、お薬を服用されている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
薬を上手に活用しながらも、「できる限り薬に頼りすぎない体を目指したい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そんな時、鍼灸(しんきゅう)がお役に立てる可能性があります。
高血圧とは?そのリスクを知ろう
高血圧とは、血管の壁にかかる圧力が通常よりも高い状態を指します。年齢とともに血圧は高くなる傾向がありますが、診断基準は以下の通りです。
- 診察室での測定の場合: 収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上
- 家庭での測定の場合: 一般的に135/85mmHg以上
血圧は1日の中でも変動し、緊張などで一時的に高くなることもあります。しかし、高血圧が慢性化すると、血管の壁が硬くなったり、弾力性が失われたりして動脈硬化を進行させます。これにより、以下のような深刻な病気のリスクを高めてしまうのです。
高血圧が引き起こす可能性のある病気
- 脳の病気: 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
- 心臓の病気: 狭心症、心筋梗塞など
- 腎臓の病気: 腎硬化症、腎不全など
- 目の病気: 眼底出血など
- 胸部・腹部の病気: 大動脈瘤破裂、大動脈解離など
- 足の病気: 閉塞性動脈硬化症、壊疽など
高血圧のリスクを高める生活習慣
高血圧のリスクを理解し、生活習慣を見直すことは、高血圧の予防や改善に繋がります。
- 喫煙: タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があります。
- 脂質異常症: 悪玉コレステロールや中性脂肪が血液中に多いと、血管に負担がかかります。
- 肥満: 特に内臓脂肪型肥満は、循環血液量を増やし血圧を上昇させます。
- 糖尿病: 血液がドロドロになり、血流が悪化することでリスクが高まります。
これらの生活習慣に心当たりがある方は、できることから改善していくことが大切です。
鍼灸治療による高血圧へのアプローチ
近年、鍼灸治療が高血圧の管理において補完的な役割を果たす可能性が注目されています。これは、鍼灸が持つ以下のような効果によるものです。
- 自律神経の調整: 鍼灸は、興奮を司る交感神経の過剰な働きを抑え、リラックスを促す副交感神経を活性化させることで、心拍数を安定させ、血圧の調整をサポートします。
- 血管の柔軟性の改善: 鍼灸によって血管の収縮・拡張がスムーズになり、血の巡りが良くなることで、高血圧の改善に役立つと考えられています。
- 腎機能の強化: 腎臓は血圧の調整に重要な役割を果たします。鍼やお灸で腎のツボを刺激することで、腎の働きを良くし、余分な塩分やむくみの改善を促し、血圧の安定に繋がります。
当院の高血圧治療
当院では、高血圧でお悩みの方に対し、お身体の状態を丁寧に診させていただき、一人ひとりに合わせた治療を行います。
特に、血圧調整に重要な役割を持つ腎に関連するツボを重視します。代表的なツボとして、足の内くるぶしとアキレス腱の間にある太谿(たいけい)にお灸や鍼をすることが多いです。腎はアンチエイジングにも深く関わり、むくみの改善にも効果が期待できます。
その他にも、患者様の症状に応じて、以下のようなツボを組み合わせて使用します。
- 合谷(ごうこく): 手の甲にあるツボで、全身の気の流れを整えます。
- 太衝(たいしょう): 足の甲にあるツボで、肝の働きを整え、ストレス緩和にも役立ちます。
- 三陰交(さんいんこう): 足の内くるぶしの上にあるツボで、血行促進や婦人科系の症状にも効果的です。
- 足三里(あしさんり): 膝下にあるツボで、胃腸の働きを整え、全身の活力を高めます。
薬との併用について
高血圧の治療において、降圧薬は重要な治療法であり、医師の指示に従った服用は不可欠です。鍼灸は、その補助的な役割を果たすことができます。
ある研究では、鍼灸治療が降圧薬の効果を高める可能性も示唆されています。薬だけに頼るのではなく、運動、食事、そして鍼灸治療を組み合わせることで、リラックス効果や自律神経の調整、血流改善が期待でき、相乗効果が期待できます。
効果には個人差がありますが、特に軽度の方や若年層では比較的早期に変化が見られる傾向にあります。
まずはご相談ください
当院では、お身体全体を診させていただき、最適な治療方針をご提案いたします。
何か不調を感じたり、お辛い症状がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。